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映画エピソードガイド
「ネメシス/S.T.X」 (1)
「スター・トレック ネメシス」
Star Trek Nemesis

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小ネタはトリヴィアの惑星 / 専用掲示板過去ログ

  • 訳は吹き替え・字幕版のどちらにも準拠していません
    吹…吹き替え、字…字幕の訳 (本文と同じ訳がされているものには付けていません)
  • カットシーン/緑色…DVD の映像特典として収録分
    黄色…脚本などから。実際に撮影されたとは限らないため、参考程度にお考え下さい
  • チャプターは DVD と同じです

[その1 | その2 | その3]

・1. 陰謀
暗い惑星。それに近接した、もう一つの惑星。
地上には円形の構造物があり、小型機が空を飛んでいる。
円の中心に建っているのは、ロミュラン帝国議会※1だ。
声が響く。「議員の方々、帝国にとって絶好の機会を検討して下さい。ついに、惑星ロミュラスとレムス※2の運命が一つになるのです。レムスのシンゾン※3は、我々自身がかつてないほど強くなるチャンスを与えています。」 議会の床に描かれた星図の上で、2人のロミュラン司令官が立っていた。「拒否するのは狂気の沙汰でしょう。偏見や政治によってこの同盟が邪魔されることのないよう、お願いします。シンゾンの軍隊が我々に加われば、連邦さえ立ちはだかることはできないでしょう。」 天井にはバード・オブ・プレイの像。
司令官※4の話を聞いていた、中央のロミュランは話を止めた。「もう十分だ! 決定は下された。」
一人の女性議員は、手元に赤い装置のような物を置いている。
ロミュラン:「ロミュラスの政策は軍部によって決定はされない。議会はシンゾンの提案を検討し拒否した。奴と部下は、ありとあらゆる慎重な作戦に直面し、元いたあの黒い岩に戻されることになるだろう。わかったかね?」
もう一人の司令官※5が、初めて口を開いた。「了解。」
司令官たちと目を合わせる女性議員。2人は議会を去った。
すぐに、その議員も席を立つ。「失礼ですが、執政官※6。ソリア※7大使との面会がございますので。」
執政官:「構わん。」
出ていく議員。
執政官は話し続ける。「議員の中で、ほかに話したい者はいるかね? それではセレス2号星※8との貿易交渉を開くという申請について、決を採る。」 議員が残した装置が動き始めた。表面が 4つに分かれる。「周知の通り、レムス鉱山は今や何ヶ月もノルマを満たしていない。全員が貿易委員会※9の結論を気にしていると思う。我々が望まぬ限り…」
執政官も装置から立ち上る光に気づいた。
ざわつく議員たち。
螺旋状の光の柱は一気に動きを早めると、天井に何重もの輪を形成した。
見上げる執政官や議員。
その輪は消え、細かい粒子となって部屋に降り注いだ。同時に装置の活動も収まる。
立ち上がる執政官。「誰か保安部に警告してくれるか? タローラ議員※10を連れ戻してくれ。」
だが執政官の動きが止まった。皮膚が変色する。
議員たちも一様に苦しみ始める。
青黒くなっていく肌。ひざまづく執政官。
皮膚は石のように変化し、声すらも出なくなった。
もはや生命とは呼べない執政官は、床に倒れていく。無惨に壊れ、床に飛び散る身体。


※1: Romulan Imperial Senate
字幕で表示され、セリフ中では単に "Romulan Senate" としか呼ばれません。吹(吹き替え用字幕)字 ロミュラン帝国最高評議会

※2: リーマス Remus
惑星ロミュラスと共に、ロミュラン帝国の首星の片方。TOS第9話 "Balance of Terror" 「宇宙基地SOS」より。形容詞形 (種族名) の Reman は初登場。本当はロミュラン (人) も「ロミュラス人」にしないと合いませんが、慣例でロミュランのままにしています

※3: Shinzon

※4: Commander
(David Ralphe)

※5: Commander
(J・パトリック・マコーマック J. Patrick McCormack DS9第114話 "Doctor Bashir, I Presume" 「ジュリアンの秘密」のベネット少将 (Admiral Bennett)、VOY第104話 "Counterpoint" 「偽りの亡命者」のプラックス (Prax) 役)

※6: Praetor Hiren
(Alan Dale) 名の Hiren は言及されていません。「ハイレン」としている日本語資料もあり。声:西村知道、DS9 プリミン、ST5 チェコフなど。Praetor (吹字 政務長官。ここでは訳出されていません) という肩書きはロミュランの最高権力者であり、「法務官」「総督」などと訳されたこともあります。また、VOY第53話 "The Q and the Grey" 「レディQ」では「ロミュラン女帝 (Romulan empress)」の存在がほのめかされています

また、クレジットでは「議員 Senator」(John Berg) というキャラクターがいますが、セリフのあるロミュラン議員は他にいません。カットされた可能性あり

※7: Tholian
TOS第42話 "The Tholian Web" 「異次元空間に入ったカーク船長の危機」などに登場した種族

※8: Celes II

※9: Trade Committee
吹字 通商委員会

※10: Senator Tal'aura
(シャノン・コックラン Shannon Cochran TNG第176話 "Preemptive Strike" 「惑星連邦“ゲリラ部隊”」などのカリタ (Kalita)、DS9第131話 "You Are Cordially Invited" 「花嫁の試練」のシレラ (Sirella) 役) 声:小池亜希子

・2. ブルー・スカイ
ジャン・リュック・ピカード※11は口を開いた。「任務。宇宙艦艦長の人生は厳粛な任務に満ちています。私は戦闘では部下を指揮しました。無慈悲な敵たちとは平和協定を結びました。連邦を代表して27種の異星人種族とファースト・コンタクトを行いました。ですが今日これほど厳粛な私の任務はありません…付添人として。」
一同から笑いがこぼれる。背後に広がる雪山。
ピカードだけ立っている中央のテーブルには、エンタープライズのクルー。
顔を見合わせるウィリアム・ライカー※12と、その隣りのドレスを着たディアナ・トロイ※13
列席者を含め、宇宙艦隊士官は皆礼服を着ている。
ビヴァリー・クラッシャー※14の隣には、同じく礼服を着た息子のウェスリー※15もいる。
スピーチを続けるピカード。「さて、私はこんなことが起こると知っています。この喜ばしい結婚の驚異について、私が丁重でしつこい称賛をすると予想されるでしょう。ですが君たち二人に、私に対してやっていることを考えさせることにしましょう。」 また笑う列席者。「もちろん君たちは幸せですが、私の要求はどうなるのでしょう?」 その中にはガイナン※16がいた。
ピカード:「こんなひどい不便はありません。つまり、君たちが幸せにタイタン※17へ移って落ち着いている時、私は新任副長を訓練するでしょう。みんな彼のことはわかるはずです。徹底的に真面目で、決して一度も私が上陸任務に向かうのを許さないでしょう。」
データ※18が口を挟んだ。「それは規則です、艦長。宇宙艦隊規約第12節、第4項※19…」
ピカード:「ミスター・データ?」
「はい?」
「黙れ。」
「了解。」
大笑いする人々。
ピカード:「15年間言うのを待っていた。」 理解できないデータ。
ピカードはライカーの肩に手を置いた。「いや、真面目にいこう。ウィル、ディアナ、まだ考え直す時間はあるぞ。どうだ?」
ライカーとトロイは言った。「いいえ。」 「いいえ。」
ピカード:「嫌か? ああ、いいだろう。それなら。」 グラスを手にする。「ウィル・ライカー、君は 15年間私の信頼できる右腕だった。私の針路を正しく、真っ直ぐにしてくれた。ディアナ・トロイ、君は私のガイドであり良心だった。私自身の善の部分を思い出させてくれた。君たちは私の家族だ。そして海での最高の伝統に沿って、私は君たち二人の前に水平線が開けることを望む。私の良き友たちよ…発進せよ。」
皆グラスを掲げた。
ピカード:「新郎新婦に!」
一同:「新郎新婦に!」
ワインを口にするピカード。口づけするライカーとトロイ。

生演奏される音楽の中で、ダンスを楽しむ人々。
クラッシャーはピカードに近づき、からかった。「息子を失ってエンパスを手に入れるような、複雑な気分でしょう?」
ピカード:「頼むよ、ビヴァリー。これは本当に辛いことなんだ。」
「あなたの涙が溜まり始めたら、転送収容することを約束するわ。レベル1 の緊急医療事態。宇宙艦隊で泣く人はいないものね。」
大尉の制服を着たウェスリーが通りかかった。「ママ!」 真面目に言う。「艦長。」
ピカード:「やあ、ウェスリー。君がまた制服に戻るのを見るのは嬉しいよ。」
クラッシャー:「似合うでしょう?」
「タイタンでの任務を望んでいるのか。」
ウェスリー:「はい、とても。機関部で夜勤シフトです。我々には二連混合室を備えた二重屈折ワープコア・マトリックスがあって、それは…」 手を振っている若い女性に気づく。「ああ、失礼します。またね、ママ。」
女性を追うウェスリー。
ピカードは微笑み、うなずいた。クラッシャーは複雑な笑みを見せる。

ライカーと一緒に踊るトロイは笑っている。
座っているジョーディ・ラフォージ※20。「また再婚を考えたことはないのかい?」
ガイナン:「いいえ。23回で限界よ。」
ガイナンを見るラフォージ。
ラフォージと一緒に座っているリア・ブラームズ※21。「あなたの艦長が、あんなにノスタルジックになっているのは見たことがないわ。お年を重ねて柔らかくなってらっしゃるのかしらね。」
笑うラフォージ。「そうじゃないと思うよ。僕たちが新型のシリーズ4 レプリケーターをインストールした後、艦長はいつものティーを注文したけど不調だったんだ。だから丸ごと取り除いて、旧型に戻したんだよ。」
「ほら! 旧型レプリケーターに対してノスタルジックなのよ。」
「艦長はただ好きな習慣を続けさせてくれるものが好きなんだ。」 ブラームズに微笑むラフォージ。「もちろん、僕もだよ。」 キスする。

うなり声が聞こえてきた。
ガイナン:「ウォーフ※22? 大丈夫?」
頭を抱えているウォーフ。「ロミュラン・エール※23は違法にすべきだ。」
ラフォージ:「違法だよ。」

クラッシャーとキスするライカー。
席につくピカードに話すトロイ。「素晴らしい御挨拶でした。」
ピカード:「心から出たことだ。」
「それに艦長が心配なさることはありません。私が新任カウンセラーに、彼女が知っておくべきことを全て伝えますから。」
「ああ、そりゃひどい。君は既に私について知りすぎてる。」
「ところでベタゼッド※24での儀式中には、スピーチはないんだったな。」
ライカー:「ありません、スピーチも、衣服も※25。」
うなずくピカード。
データの声が響いた。「紳士淑女、そして御来賓の超性別種の皆さん…私が地球人とベタゾイドの結婚儀礼を研究したところ、幸せなカップルに贈り物をするのが伝統だとわかりました。」 マイクの前で話している。「ライカー中佐の古典的な音楽形態に対する愛情を考慮し、今からお二人の接合を祝して私の贈り物をすることにしました。」
笑うトロイ。「接合!」
歌い始めるデータ。※26
Never saw the sun
Shining so bright
Never saw things
Going so right
Noticing the days
Hurrying by
ウォーフは顔を上げた。ピアノの音色。
When you're in love
My, how they fly
一斉に伴奏が始まる。
Oh, blue skies
Smiling at me
ウォーフは頭を抱える。「アーヴィング・バーリン※27か…。」
Nothing but blue skies
Do I see...
また踊る人々。
ライカーはバンドに加わりたくて仕方がないようだ。
トロイは微笑む。「いいわよ、行ってらっしゃい。」
ライカーは喜んでバンドに入った。トロンボーンを手にし、一緒に演奏を始める。
ピカード:「一緒にダンスはいかがかな?」
トロイ:「喜んで、艦長。」
ラフォージもダンスフロアでブラームズをリードしている。
クラッシャーはウォーフに近づいた。「ウォーフ少佐…クリンゴン人はダンスするの?」
ウォーフ:「私はダンサーではありません。気分が優れません。」
「心配しないで。私はドクターよ。」 ダンスフロアに引っ張っていくクラッシャー。「私が離れる前にエンタープライズに戻ってくれて、本当に嬉しいわ。」
「私はあの生活には合っていませんでした…外交官として※28。」
皮肉を言うクラッシャー。「誰がそう思ったかしら。」
踊る 2人。ピカードとトロイもそばを抜ける。
データは歌い続けている。



※11: ジャン・リュック・ピカード艦長 Captain Jean-Luc Picard
(パトリック・スチュワート Patrick Stewart TNG第58話 "The Defector" 「亡命者」のマイケル・ウィリアムズ (Michael Williams) 役) エンタープライズ-D・E 艦長、階級は大佐。2305年生まれの 74歳、フランス・ラベール出身。DS9第1・2話 "Emissary, Part I and II" 「聖なる神殿の謎(前)(後)」にも登場。声:麦人

※12: ウィリアム・ライカー副長 Commander William Riker
(ジョナサン・フレイクス Jonathan Frakes) ウィリアム・トーマス・ライカー (William Thomas Riker)。愛称ウィル。エンタープライズ-D・E 副長、階級は中佐。2335年生まれの 44歳、アラスカ・ヴァルディーズ出身。VOY第34話 "Death Wish" 「Q1, Q2」にも登場 (DS9第55話 "Defiant" 「奪われたディファイアント」では分身のトーマス・ライカーが) 声:大塚明夫

※13: カウンセラー・ディアナ・トロイ Counselor Deanna Troi
(マリーナ・サーティス Marina Sirtis) エンタープライズ-D・E カウンセラー、階級は中佐。2336年生まれの 43歳。父親は地球人、母親はベタゾイド。VOY第130話 "Pathfinder" 「遥か彼方からの声」、第144話 "Life Line" 「ジマーマン博士の屈辱」、第152話 "Inside Man" 「幻の帰還計画」にも登場。声:高島雅羅

※14: ドクター・ビヴァリー・クラッシャー Dr. Beverly Crusher
(ゲイツ・マクファデン Gates McFadden) エンタープライズ-D・E 医療主任、階級は中佐。2324年生まれの 55歳。2365年 (TNG第2シーズン) のみ宇宙艦隊医療部勤務。声:一城みゆ希

※15: Wesley Crusher
(ウィル・ウィートン Wil Wheaton) 元エンタープライズ-D 操舵 (TNG第4シーズン途中までのレギュラー)。その後、宇宙艦隊アカデミーに入学、中退。2349年生まれの 30歳。TNG第172話 "Journey's End" 「新たなる旅路」以来の登場。カメオ出演でセリフもないため、声優なし (TNG では石田彰)

※16: Guinan
(ウーピー・ゴールドバーグ Whoopi Goldberg) エンタープライズ-D テン・フォワード (バーラウンジ) の女主人で、エル・オーリア人 (TNG第2シーズン以降のサブレギュラー)。映画第7作 "Star Trek: Generations" 「ジェネレーションズ」以来の登場。ノンクレジットのカメオ出演。声:東美江、これまでと統一

※17: Titan
U.S.S.タイタン、クラス・番号不明 吹字 「タイタン」となっている個所あり

※18: Data
(ブレント・スパイナー Brent Spiner この「ネメシス」では原案を共同担当。最近の出演作は「アカデミー 栄光と悲劇」、「ピノキオとゼペット」、「I am Sam/アイ・アム・サム」など) エンタープライズ-D・E オプス士官兼第二副長、階級は少佐。声:大塚芳忠

※19: Starfleet Code Section 12, Paragraph 4
吹 艦隊コード第12条の4章 字 艦隊規則第12条の4

※20: Geordi La Forge
(レヴァー・バートン Levar Burton) エンタープライズ-D・E 機関主任、階級は少佐。2335年生まれの 44歳。VOY第100話 "Timeless" 「過去を救いに来た男」にも登場。声:星野充昭

※21: Leah Brahms
TNG第54話 "Booby Trap" 「メンサー星人の罠」などに登場した博士。TNG最終話 "All Good Things..." 「永遠への旅」での Q による反時間未来では、ラフォージが「リア」という女性と結婚したことになっていました。このシーンは当初の脚本にはありましたが、ラフォージと話す相手はガイナンに変更

※22: Worf
(マイケル・ドーン Michael Dorn 映画 ST6 "The Undiscovered Country" 「未知の世界」のウォーフ大佐 (Colonel Worf) 役) エンタープライズ-D 保安主任、階級は少佐。2340年生まれの 39歳、クリンゴン人。2372〜75年は DS9 で戦略作戦士官を務め、2374年にはトリル人のジャッジア・ダックスと結婚、死別。声:銀河万丈

※23: Romulan ale
映画 ST2 "The Wrath of Khan" 「カーンの逆襲」など。ウォーフたちが今飲んでいるシャンパンではなく、青いアルコール (前日の「独身さよならパーティ」で飲んだという設定)。DS9第166話 "Inter Arma Enim Silent Leges" 「闇からの指令」では禁制品ではなくなっていましたが、また禁止されたようです

※24: Betazed
ベタゾイドの母星。吹字 のように「ベタゾイド星」と訳されることが多いのですが、ここではロミュラス同様あえて区別して訳しています

※25: TNG第11話 "Haven" 「夢の人」など

※26: "Blue Skies" 「ブルー・スカイ」
1927年。同名のミュージカル映画 (1946) もあり。日本語版の歌詞は以下の通り 吹 太陽は/降り注ぎ/希望が/火を灯す/時はゆく/足早に/全ては/恋の力/ブルー・スカイ/青空は/微笑むよ/二人に 字 太陽は光り輝き/すべては希望に満ちて/過ぎゆく日々の速いこと/恋をしている時は/青空は私に微笑み/見えるのは青空だけ→参考

※27: Irving Berlin
1888〜1989年。参考 吹 アーヴィン・バーリン

※28: DS9第176話 "What You Leave Behind, Part II" 「終わりなきはじまり(後編)」より

・3. ポジトロニック・サイン
※29箱を開けると、レシクの笛※30が入っていた。
手にするデータは、まだ礼服を着ている。
グラスを持ったピカードは、瓶を見せた。「特別な日のためだ。シャトー・ピカード※31、2267年もの。」
笛を戻すデータ。
ピカードはグラスにワインを注ぎ、渡した。「いいか、ワイン職人の歴史は、グラス一杯ごとに表れるそうだ。生まれた土地、過去、未来への願い。」
グラスを振り、匂いをかぐピカード。真似するデータ。
乾杯するピカード。「ふむ。それでは…未来に。」
データ:「未来に。」
口の中で転がすピカード。もちろんデータも。
ピカード:「うん。」
データ:「うん。」
ソファーに座るピカード。
データ:「艦長…結婚式では興味深い感情の集まりに気づきました。不思議に思わざるをえません…」
ピカード:「座ってくれ、データ。」
「ああ、ありがとうございます、艦長。」 座るデータ。「不思議に思わざるをえません、人間の能力には。喜びと悲しみを同時に表現しています。」
「…特定の人間の儀式…結婚や誕生日や葬儀といったものでは、とても強く…とても複雑な感情が呼び起こされるんだ。我々の人生で大事な変化を記すものだからね。」 フェンシングのマスクが置いてある。
「時間の経過を強く意味するのですね。」
「時間の経過だけではなく…我々がもつ時間の存在だ。我々が…いつか死ぬことを思い出させてくれる。…こういう儀式は我々にこれまで何があったか、そしてこれから何があるか考えさせてくれる。」
「そして艦長はライカー副長がタイタンを指揮するために離れるから、特にこういう変化の感情を意識しておられた。」
「ウィルとディアナは二人ともタイタンに乗り…ビヴァリーは宇宙艦隊医療部へ行く※32。」
「だからこのことで悲しくなるのですか?」
「…ああ、そうだ。そうだろうな。少しは。つまりもちろん、私は 3人の今後をとても喜んでいる。だが…いなくなると寂しい。」 立ち上がり、自室の窓を見つめるピカード。「エンタープライズは…ああ、彼らなしでは同じではないだろう。」
データも立つ。「それは艦長が、3人がいることに慣れているからですね。3人が…近くにいることで、艦長は安らげる。」
ピカード:「ああ、そして…率直に言って、私は 3人をうらやむ気持ちも大きい。彼らは重大な決断をした。3人の前には大きな挑戦が待っているだろう。未知の……未知の世界だ。ウィルとディアナに今日会って、私がこれまで下したいくつかの決断について考えさせられた。人生を宇宙艦隊に捧げた。」 デスクの席につく。「結婚もせず、子供も作らず。全ての選択を通して、今私はここにいる。」
「私もこれまでの選択によってここにいます、艦長。この場所しか、これまでに故郷だと思ったことはありません。離れる理由を予想することはできません。」
「ああ、データ。水平線の向こうにあるものはわからないものだ。近いうちに、君は自分で指揮するよう勧められるだろう。」 データに近づくピカード。
「…もしそうだとしても、私の記憶痕跡はあなたが近くからいなくなることを感じると思います、艦長。…寂しく思うでしょう。」
「そして私も思うだろう、データ。さあ、今度は君が乾杯してくれ。」
「乾杯しましょう…」 外を見るデータ。「未知の世界に、艦長。」
「未知の世界に。」
ワインを飲む。

※33廊下を歩いている男性のロミュラン司令官。「艦隊の司令官たちは苛立っています。指定された座標に留まって、奴の命令を待つことに同意した。だが何が起こっているのか知りたがっています。」
横を歩く女性司令官。「彼らを責めることはできませんね。我々は奴らを暗黒の中で永遠に閉じこめておくことはできない。」
杖をついた異星人がやってきた。「だが闇の中には…力がある。」 その耳は尖っている。「そう思わんかね。」
何も言わない司令官たち。
2人の間を抜けて先に進む異星人。

バード・オブ・プレイの像。
男の声が響く。「考えてみたまえ。帝国の偉大なシンボルだ。だがバード・オブ・プレイは 2つの惑星をつかんでいる。ロミュラスと…レムスだ。2つの運命は結合した。」 暗い議会内で、ロミュランの執政官たちが暗殺される前にいた司令官たちや、タローラ議員に言う。「だが何世代にも渡って、片方の惑星は声を上げなかった。我々はもう黙ってはいない。」 若い男は地球人のように見えるが、服装は先ほどのレムス人に似ている。
レムス人と、司令官 2人がやってきた。
男:「加わりたまえ、司令官たち。…さて、艦隊の配置はどうなってる。」
男性司令官:「位置を維持しています。」
「それで?」
「彼らは命令に従うでしょう、執政官。」
新たな執政官は言った。「我々が彼らの忠誠を維持するのは絶対に必要だ、さもないと我々の偉大な任務が息を始める前に絞め殺されてしまう。」
女性司令官:「彼らはあなたの意思を援助します、執政官。ですが証拠も必要です。つまりあなたの…言うなれば誠実さの。」 女性司令官を見る男性司令官。
「そしてそれを目にすることになる。強大な連邦は我々の前に陥落する、私が約束したとおり。」
微動だにしない司令官たち。
執政官:「我々が夢みていた時は目の前だ。征服の…時が。竜の頭を切り落とせば、反撃できない。」
女性司令官:「それで何隻のウォーバードが、竜を殺すのに必要でしょうか。」
「…私の名文句が気に入らないのか?」
「美しい言葉も、戦闘ではほとんど役立ちません。」
「これからの成り行きでは、私は一隻のウォーバードも必要としない。」
男性司令官:「執政官、あなたは全艦隊を思いのままにできるのです。彼らはクーデターを援助しました。執政官に従います。」
「シミターが私の欲求を満たす。」
「確かにそうでしょうが、執政官は…」
「私だけでここまで成し遂げた。我々だけで…ここまで成し遂げた。艦隊の支援は必要ない。」 中央の席に座る執政官。「さあ出て行け。」
礼をし、出ていく男性司令官。
女性司令官も執政官を見た後、去った。
執政官はレムス人に尋ねた。「…我々の準備はできたか。」
レムス人:「…はい、執政官。」
「…この瞬間をどれだけ待ちわびたか。」


エンタープライズは通常飛行中だ。
制服に戻ったトロイ。「これは伝統なの、ウォーフ。あなたも含めてみんな、大事にすべきよ。」
ウォーフ:「私はしない!」
作戦室から出てきたピカード。「何をしないんだ、ミスター・ウォーフ?」
ウォーフ:「艦長、宇宙艦隊士官にとって適切だとは思えません。…裸になるのは。」
「ああ、どうしたんだ。背が高くて、ハンサムで、がっしりしてる男なのにか? 何を怖がる必要がある。」
笑うトロイ。
ウォーフが反論しようとした時、コンソールで警告音が鳴った。「艦長、異常な電磁サインをコラリン星系※34から探知しています。」
ピカード:「どういうサインだ?」
「ポジトロンです。」
ライカーと顔を見合わせるピカード。ウォーフはデータを見る。

コンピューターに星系の図が表示される。
ラフォージ:「非常に弱いですが、コラリン星系の第3惑星だと分離しました。」
ピカード:「我々がわかっていることは?」
「未調査です。より詳しいスキャンには近づく必要があります。」
「意見は?」
データ:「ポジトロニックサインは、私自身のようなアンドロイドからしか発せられないとわかっているため、コラリス3号星※35にアンドロイドがいると理論づけるのが論理的です。」
ライカーもコンソールで調べた。「これを恐れてたんだ。艦長。コラリス星系へ向かうと、ロミュラン中立地帯にかなり近づくことになります。」 星図が拡大表示される。
ピカード:「まだ十分我々の側だ。そうだな、ああ…」 データを見る。「見てみる価値はあるだろう。心配するな、ナンバー・ワン。我々にはまだ、君たちをベタゼッドへ連れて行くにはたっぷり時間の余裕がある。」
微笑むライカー。「ありがとうございます、艦長。」
ピカード:「そこでは我々全員がベタゾイドの伝統を尊重する。さて構わないなら、私はジムにいる。」 出ていった。
艦長席に座るライカー。「ミスター・ブランソン※36、コラリン星系へ針路を取れ。ワープ5。」 操作するブランソン。
ラフォージは言った。「どう思う、データ。初めて会う親戚か?」 惑星の図上に反応がある。
何も言わないデータ。

惑星に近づくエンタープライズ。
地表の地図が拡大され、異なる場所に何個も反応が出た。
ラフォージ:「6つの異なったポジトロニックサインを、惑星地表の数キロメートルに渡って読み取っています。」
ピカード:「我々がコラリス3号星の住民についてわかっていることは?」
データ:「ヒューマノイドの点在した集団です。前ワープ文明で、産業開発の初期段階にあるようです。」
ラフォージ:「艦長、転送機を使うのは勧められません。このイオン嵐は、あまり友好的ではないでしょうね。十分な警告なしに我々の方向へ向かってくるかも。」
ピカード:「わかった。」 地図を見つめ、ラフォージと視線を交わした。「データ、ミスター・ウォーフ。一緒に来てくれ。」
ライカー:「艦長、おわかりかと思いますが…」
「君の気遣いには感謝するよ、ナンバー・ワン。だが、ああ…アルゴ※37を試してみたくて仕方なかったんだ。」
「そうでしょうね。」
「艦長の特権だ。予想できる危険はない。それに我々のせいで君に何か起こったら、奥さんが絶対許してくれないだろう。」 ターボリフトに入るピカード。「ブリッジを頼む、ミスター・トロイ。」 ドアが閉まる。
ブリッジのクルーから笑いがこぼれる。振り返るライカー。クルーは咳払いした。


※29: DVD 特典映像、削除シーンその1 「シャトー・ピカードの2267年物」。窓の外は合成前で、グリーンスクリーンのままです

※30: Ressikan flute
TNG第125話 "The Inner Light" 「超時空惑星カターン」など

※31: Chateau Picard
本編でもチャプター22 で登場しますが、ラベルが映るのみ

※32: 本編ではクラッシャーの今後については、特に描写されていません

※33: DVD 特典映像、削除シーンその2 「征服の時」。シンゾン、副長官、ドナートラ、スーランは全員、本編より前の段階で登場しています (ただし名前は未言及)。副長官のセリフは予告編 (Teaser Trailer) で使われていました

※34: Kolarun system
後にライカーのセリフでは "Kolarus system" とも言っています。通常は星系名と惑星名は同一です

※35: Kolarus III
吹字 コラルス3号星

※36: ブランソン操舵士官 Helm Officer Branson
(Michael Owen) 階級は大尉のようです。声:斉藤次郎

※37: Argo

・4. 危険な速度
エンタープライズのシャトル格納庫から、フォースフィールドを通ってシャトルが発進した。
羽根を広げ、惑星へ向かう。

降下するシャトル。羽根を閉じ、脚を出して着陸する。
船体には「アルゴ」と書かれている。後部のドアが開いた。
そして、中から四輪の車が飛び出した。
倒れそうになりながら向きを変え、荒野を進む。
ゴーグルを着けたデータは、トリコーダーを持っている。「私はいつも、危険な速度で乗り物を運転することへの人間の偏愛に当惑します。」
運転しながら笑うピカード。草が舞う。
後ろにはウォーフが座っている。
データ:「あの高台の向こうです、艦長。500メートル。」
進む車。

車は停止した。
降りてトリコーダーで調べるデータ。「放射電磁界が私のトリコーダーに干渉していますが、信号の数メートル以内にいます。」
ピカード:「散開しろ。辺りを探そう。」
何も見あたらない。
ウォーフが立ち止まると、突然地中から腕が出てきた。ウォーフの足をつかむ。
叫ぶウォーフ。足を引くと、それは腕だけだった。
振り払うウォーフ。単独で動く腕を拾う。
近づいたデータ。「ロボット型の腕のようですね。」
ウォーフはデータを見た。「まさにその通り。」
ピカード:「ミスター・ウォーフ、車に運ぶんだ。※38

さらに進む車。
データが見つけたのは足だった。

胴体を拾うウォーフ。
ピカード:「いい気はしないな。」
車に入れられる。

ゆっくり進む車。
データ:「最後のサインは北におよそ100メートルの位置です、艦長。」

車の前に、頭が転がっていた。
フェイザーライフルを持って降りるウォーフ。
ピカードもフェイザーを取り出す。
かがむデータ。転がっている頭は、データと同じだった。
ウォーフ:「少佐だ。※39
データ:「類似性は素晴らしい。」
頭は目を開いた。驚くデータ。
データは拾い上げた。「興味深い。」
頭もしゃべった。「興味深い。」
突然、別の車が迫ってきた。銃を撃ってくる。
何台もの車は、コラリス人が操縦している。
ピカード:「車へ急げ。」
反撃するウォーフ。
車に戻るピカード。「いくらか危険な速度を試す時だな。」
データは席からフェイザーを撃つ。
後部座席のウォーフは、備え付けられた砲台を稼働させる。
逃げ出す車を追う、コラリス人。
ウォーフの攻撃が地面に当たり、コラリス人の一台は倒れた。
データが持つ頭がしゃべり出した。「なぜあなたは頭が輝いているのか?」
ピカードが見る。
データ:「今は会話に適切な時ではありません。」
頭:「なぜ?」
「なぜなら艦長は乗り物を運転するのに集中しなければならないからです。」
「なぜ?」
「なぜなら…」
ピカード:「データ!」
「すみません、艦長。」
データは横の箱に頭を入れ、額をなでた。
頭:「私は何か悪いことを言ったのか?」 ふたが閉められる。
アルゴに近づくと、周りに多数のコラリス人がいた。
騒ぎ、銃で撃ってくる。
データは車に備え付けられている装置を手にした。
車はアルゴから離れていく。
データが操作すると、無人のアルゴが離陸を始めた。
操作するデータ。
上空を飛ぶアルゴ。
ウォーフは更に一台の車を倒した。
ピカード:「データ。」
坂を駆け上がる車。
データは見上げながら、アルゴの操作を続ける。
アルゴは真ん前を飛び続ける。
そして崖を離れたところで、空中に静止した。
速度を上げる車。遠くにアルゴが見える。
車は崖から飛び立った。一直線にアルゴへ向かい、中に入る。
中の衝撃吸収装置にぶつかり、タイヤのきしむ音が響いた。
すぐに固定される。閉じられていくドア。
ピカードはデータと顔を見合わせた。
次々と車を止めるコラリス人。ゴーグルを外す。
上空へ上がるアルゴ。

コンピューターに、腕の構造が表示されている。クルーが話している。「バルブ移送、開始。」
その前に置かれた腕を調べるエンジニア。
クラッシャー:「データ、ねえやっぱり…あなたの方がいい目をしてるわね。」 目の前に置かれた頭。
近づくデータ。「我々の目は同一です、ドクター。」
ライカー:「それで手に入れた物は何だ、ジョーディ。」
ラフォージ:「ええ、彼はデータと同じ内部構造だと言えますが、ポジトロニック発達はあまり進んでいません。神経経路はそれほど高度ではありません。彼はプロトタイプでしょう。スン博士※40がデータの前に作った一体だと。」 身体が組み立てられている。
データ:「あなたに名前はありますか?」
頭:「私は…B-4※41 だ。」
ピカード:「B-4 (以前) 。スン博士の風変わりな名前をつける趣味には、終わりがないようだな。」
データ:「どうやってあなたが見つかった惑星へ来たのか言えますか?」
B-4:「わからない。」
「惑星に来る前にしていたことを、何か覚えていますか?」
「いや。…なぜ背の高い男の顔は毛で覆われているのだ?」
ライカーを見たピカード。「ナンバー・ワン、随時知らせてくれ。それで、ああ…ジョーディ、彼を組み立てろ。」
ラフォージ:「了解。」
右手が運ばれる。
データ:「どうやってあなたが見つかった惑星へ来たのか言えますか?」
B-4:「私は故郷の星から『パクレド人※42』という人々に連れて行かれた。彼らは太っている。『ボリアン※43』に属する船と私を取引した。『ボリアン』は青い。私を席につかせて、いろいろ質問した。そして彼らは別の船に攻撃されて…」

B-4 は絶え間なく話し続けている。組み立ては進んでいる。もうクラッシャーは完全に退屈している。
B-4:「そしてデルヴィシアンサ人※44という人々が私を拾った。彼らの歯は長い。私が手伝えることはあるか尋ねられた。必要なことは何でもできると答えた。マトリックスマニフォルドの清掃を頼まれた。マトリックスマニフォルドがどのようなものかを知らないと答えた。」
クラッシャー:「ごめんなさい。医療スキャナーとかを検査しなくちゃいけなかったわ。」 すぐに出ていった。
「その後『エンジンマニフォルド』を見せられた。それから『プラズマモップ』というものを見せられた。」

まだ B-4 は話している。ほとんど組み立ては終わっている。ライカーは心底ウンザリしている。
B-4:「…それから『カーデシア人』は『ゴミ用シュート』という場所に私を入れて、また宇宙に放り出された…」
ウォーフの通信が入る。『ウォーフよりライカー副長。戦術リストの準備ができました、中佐。』
すぐに応えるライカー。「ウォーフ! よくやった! すぐに向かう!」 立ち上がる。「…任務の時間だ、失礼する。急がないとな。」 ライカーは逃げるように出ていった。
B-4:「毛で覆われた顔が消えた。」
データ:「ええ、続けて下さい。」
「私は長い間宇宙にいた。それから『タロス人※45』に属する船が私を拾った。どこから私が来たのかを聞かれた。私は故郷の星から『パクレド人』という人々に連れて行かれたと答えた。彼らは太っている…」
ラフォージはうめいた。

もちろん B-4 は話している。既にラフォージは椅子で眠っており、データだけが聞いている。
B-4 の組み立ては終わっている。「それから私は目を開け、君を見た。」
これで、B-4 の話はついに終わった。

データ:「B-4、私が誰か知っていますか?」
B-4:「君は私だ。」
「いいえ。私の名前はデータ。あなたの弟です。」


※38: 吹 では「アルゴに運べ」と訳されています。確かに「ジープ」にもアルゴとは書かれていますが、シャトル本体も同様です。ここではシャトルをアルゴ、車はアルゴに搭載されたものとして扱っています (原語では車のことを一度もアルゴとは呼んでいません)

※39: 吹 「お前だ」
劇場版でも同様の字幕でしたが、DVD の字幕は「少佐だ」に修正されています

※40: Dr. Soong
ヌニエン・スン (Noonien Soong)。TNG第77話 "Brothers" 「永遠の絆」などに登場。故人。自分の顔をモデルにしたため、データや B-4 (やローア) と同じくスパイナーが演じました

※41: B-4
(ブレント・スパイナー Brent Spiner) 声:大塚芳忠

※42: Pakleds
TNG第43話 "Samaritan Snare" 「愚かなる欲望」など

※43: Bolians
TNG第25話 "Conspiracy" 「恐るべき陰謀」など

※44: Delviciansans

※45: Talosians
TOS パイロット版 "The Cage" 「歪んだ楽園」より。実際にはこの段階では B-4 は組み立てられず、データが頭だけの B-4 に質問します

・5. 未知への出航
クルーラウンジ※46で、ライカーやトロイはウォーフと夕食を取っている。
ウォーフに話すトロイ。「…そしてベタゼッドでの儀式の後、3週間はずっと二人でハネムーンよ。」
ライカー:「オパール海※47で船に乗るんだ。古風な太陽発電の双胴船を予約した。我々二人と、太陽と、波だけだ。」
ウォーフ:「とても…楽なハネムーンのようですね。」
トロイ:「リラックスするためなのよ。」
「クリンゴンのハネムーンはコラマー砂漠※48から始まり、そこで夫婦は忍耐の道を通じて絆を深めます。この挑戦で生き残ることができれば、フェックラーの炎の洞窟※49へ向かい、グレトール※50の悪魔たちと対面するのです。」
ライカー:「ああ、それもリラックスできそうだな。」
「とても…爽快です。」
3人はデータがラウンジに入るのを見る。ゆっくりと B-4 を連れて行く。
ライカー:「もう組み立てて動かしてるんだな。」
ウォーフ:「彼はとても変わったアンドロイドです。」
微笑むライカー。「血筋だ。」
3人が見る中、データは B-4 を空いたテーブルへ連れて行く。
データは座り方を教え、B-4 は座って真っ直ぐに前を見ている。
ナプキンの使い方を見せるデータ。
二人を見つめるトロイ。


パッドを読んでいるピカードは、レプリケーターに注文した。「ティー、アール・グレイ、ホットで。」 そばで合成される。
ドアチャイムに応える。「入れ。…カウンセラー。」
トロイ:「お時間よろしいでしょうか、艦長。」
「もちろんだ、座ってくれ。」
前に座るトロイ。「データのことなんです。彼と B-4 を見て困惑しています。データの『家族』を求める願いは、とても強いものです。彼が B-4 に没頭しすぎているのではないかと心配しています。」
ピカード:「感情的な没頭のことを言っているのか?」
「B-4 は幼い子供のようです、艦長。そしてデータは彼なりに、親や保護者の立場を担っています。彼が自分の経験に基づいた期待を抱いていることが心配なんです。B-4 が、その期待に応えられなかった時には残念に思うでしょう。」
「我々は彼のことを心配はする、ディアナ…だがデータには残念に思う能力はないことも覚えておく必要がある。」
「私はそう思いません、艦長。私達は多くの残念な旅を共にしてきました。」
「……君がいなくなると寂しくなるな。」
「私もです。」

ライカーの通信。『艦長、宇宙艦隊司令部からアルファ優先通信が届いています。』
ピカード:「わかった。」 立ち上がるトロイに言う。「データと話しておこう。」
トロイ:「ありがとうございます。」 出ていく。

スイッチを押すと、デスクにコンソールが出てきた。映し出される女性。
ピカード:「ジェインウェイ提督※51、またお会いできて光栄です。」
ジェインウェイ:『ジャン・リュック、ロミュラスへの旅はどうですか?』
「他の艦隊と共に、それともなしで?」
『外交任務です。我々は招待されました、信じられないでしょうが。どうやら一種の内政改革があったようです。新しい執政官はシンゾンというそうですが、連邦使節を要求してきました。』
「新しい執政官?」
『それだけではありません。彼はレムス人です。本当です、我々も理解できませんが。あなた方が一番近い船ですから、向かって執政官が言いたいことを聞いてきてもらいたいのです。現状を考えて下さい。帝国が不安定になれば、全宇宙域に混乱を招くことを意味するでしょう。』
「わかりました。」
『我々は手に入れた情報を全て送信しますが、あまり多くありません。背中に気をつけろと言う必要はないですね、ジャン・リュック。』
「ええ全く。」
『ソーナ※52、ボーグ、ロミュラン…あなたは簡単な指示ばかり受けるみたいですね。』
「幸運なだけですよ、提督。」
『その幸運が続くことを祈ります。ジェインウェイ、以上。』 通信は終わった。
コンソールを納めるピカード。

作戦室を出たピカードは命じた。「操舵士、新たな針路を入力しろ。ロミュラスへ向かえ、ワープ8 だ。」
一瞬戸惑うブランソン。「了解しました。針路設定、入力。」
ライカー:「ロミュラス?」
ピカード:「残念ながらオパール海※53には待ってもらう必要があるみたいだ、ナンバー・ワン。発進。」
操作するブランソン。
エンタープライズはワープに入った。

画面に星系の構造が表示されている。
データ:「ご覧の通り、レムスの片面は常に太陽に向いています。星の半分が高温のため、レムス人は惑星の暗い面に住んでいます。」 レムスが大きく表示される。「レムス母星についてはほとんどわかっていませんが、情報部のスキャンによって、ディリチウム採鉱と重武器の建造の存在が確認されました。」 拡大される地図。「レムス人自身は帝国の階層において、好ましくない階級にあると考えられています。」
ライカー:「だが彼らも手強い戦士だという噂です。ドミニオン戦争※54では、レムス軍隊は最も危険な交戦の数々において、急襲部隊として利用されました。」
ピカード:「捨て駒か。」
ラフォージ:「ええ、でもどうやってレムス人が執政官になったんでしょう。理解できません。」
ライカー:「我々は彼にロミュランの協力者たちがいたと推測せざるをえません。」
ピカード:「クーデターか?」
「執政官の権力は常にロミュラン艦隊を手中にしていました。彼らはシンゾンにつき、議会を転覆させたに違いありません。」
「シンゾンについてわかっていることは?」
データ:「宇宙艦隊情報部は軍事記録の一部しか用意できませんでした。比較的若く、有能な指揮官だと推測できます。戦争で 12回の大きな交戦を戦い、全て成功しています。それ以上は、何もわかりません。」
「つまり、我々は本当に未知へと航海するようだな。最善を尽くしてくれ。私に提供してくれるものは、何でも歓迎する。解散。」
観察ラウンジを出て行くクルー。
※55ウォーフはピカードを呼び止めた。「艦長…」 自分だけ残ったことを確認する。「シールドを上げて、非常警報を発令することをお勧めします。」
ピカード:「まだ駄目だ、ミスター・ウォーフ。」
「艦長…率直に申しあげてよろしいですか。」
「言ってみろ。」
「…ロミュランは征服だけのために生きてきました。奴らは名誉をもたぬ者たちです。我々は孤立しています、奴らの領域深くで。…十分注意することを勧めます。」
「良かれ悪かれ、これは外交任務であり、私は連邦規約に則って進めなければならない。だがトラブルの最初の兆候があれば、その規約はもう適用されないということを君に約束する。」
「…了解。」



※46: これまでエンタープライズ-E 内では、このような部屋が登場したことはありません。ただ後のエンタープライズがシミターに衝突するシーンで、一瞬だけ映る場所がそこかも…? (チャプター19、1時間28分52秒ごろ)

※47: Opal Sea
後に実際に言及

※48: Kholamar desert

※49: Fire Caves of Fek'lhr

※50: Gre'thor
フェックラーと共に TNG第87話 "Devil's Due" 「悪魔の契約」など

※51: Admiral Janeway
(ケイト・マルグルー Kate Mulgrew) 元 U.S.S.ヴォイジャー艦長。VOY最終話 "Endgame, Part I and II" 「道は星雲の彼方に(前)(後)」以来の登場。後ろに映っているのは、サンフランシスコのゴールデンゲート・ブリッジのようです。声:松岡洋子、VOY と統一

※52: Son'a
前作 "Star Trek: Insurrection" 「スター・トレック 叛乱」に登場した種族

※53: Opal Sea
吹字 訳出されていません

※54: Dominion War
ドミニオンはガンマ宇宙域の強大な勢力で、ベイジョー・ワームホールによってアルファ・ベータ宇宙域と関わることに。ドミニオンとそれに加わったカーデシアに対し、連邦とクリンゴン (後にロミュランも加わる) の連合軍が対抗しました。ドミニオン戦争は 2373年末から2375年まで (DS9第124話 "Call to Arms" 「DS9撤退の日」〜最終話 "What You Leave Behind, Part I and II" 「終わりなきはじまり(前)(後)」) 続きました

※55: DVD 特典映像、削除シーンその3 「惑星連邦の規約」。ここも窓の外は合成前です。ただ予告編 (Teaser Trailer) にあるシーンでは合成済み


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